SHIKAKERU BLOG

中小企業のAI導入、何にいくらかかるのか

2026-08-20

AI導入の費用が「いくら」と言い切れない理由と、それでも目安になる費用の型を、当社が実際に出している価格で説明する。

この記事で分かること

AI導入にかかる費用が何で構成されているかを、当社が実際に提示している価格で説明する。

「AI導入 費用」で調べると、数万円から数千万円まで出てくる。幅が広すぎて判断材料にならない。この記事ではなぜ幅が出るのかと、自社の場合はどのあたりを見ればいいのかを整理する。

他社の導入金額は書かない。当社が確認を取っていない数字だからである。書くのは当社が実際に出している価格だけになる。

「いくらか」を答えられない理由

AI導入に定価がつきにくいのは、売っているものが商品ではなく対象業務だからである。

同じ「見積の自動化」でも、次のどちらかで作業量が変わる。

  • 過去の見積がExcelで残っている会社
  • 過去の見積が紙のファイルにしかない会社

後者は、電子化するところが最初の作業になる。AIの部分は同じでも、そこに至るまでの手間が違う。

だから最初に金額を出す会社があれば、何を対象にした金額なのかを聞いたほうがいい。対象業務を決めずに出た金額は、後から増えるか、範囲が狭いかのどちらかになりやすい。

当社が福井県内で現場訪問を無料にしているのは、この対象業務を決めるまでが見積の前提になるからである。

費用は3つに分かれる

金額の話をするときは、この3つを分けて考えると比較できるようになる。

1. 初期費用 — 作るものの代金。一度きり
2. 月額費用 — 動かし続けるための代金。毎月
3. 社内の人の時間 — 請求書には出てこないが、実際にかかる

3つ目を計算に入れていない見積は、後で足りなくなる。詳しくは最後の節に書く。

初期費用の目安(当社の価格)

当社が実際に出している価格を書く。他社の相場ではなく、当社の値段である。

  • LP(ランディングページ)1枚 — 3万円から
  • ホームページ制作 — 30万円から
  • AI検索対策(GEO)まとめて — 12万円から

業務システムそのもの(見積の自動生成、問い合わせの一元化など)は、対象業務が決まってからの見積になる。上の表に入れていないのは、決まった型で作るものではないからである。

「から」と書いているのは、ページ数や機能で上がるためで、下限を安く見せる意図ではない。実際に3万円で納めたLPも、それより高い案件もある。

月額がかかるもの、かからないもの

ここは誤解が多い。AIを使えば月額が発生する、というものではない。

月額がかからないもの

  • 作って納品して終わるもの(LP、ホームページ)
  • 社内のパソコンで動かす仕組み

月額がかかるもの

  • 外部のAIサービスを使い続けるもの(ChatGPTやClaudeのAPIなど、使った分だけ発生する)
  • サーバーやデータベースを借り続けるもの
  • 動き続けるものの保守(不具合対応、仕様変更)

月額が発生する場合、その中身が使用料なのか保守料なのかは分けて聞いたほうがいい。使用料は使う量で動くが、保守料は固定である。

当社が保守を受けている案件では、月額に何が含まれるかを契約時に文章で決めている。「何かあったら対応します」だけの取り決めは、後で双方が困る。

保守料が何の代金なのかは、実際に止まってみないと分かりにくい。当社は自社の業務(営業準備、発信の分析、サービスの死活監視)をAIに任せている。2026年7月22日、失敗時に通知を出す仕組みを入れた直後に初めて通知が来た。気になって過去の実行記録を調べたところ、直近13時間で同じ止まり方をした定期作業が4件あった。エラーは「Connection closed mid-response」——処理の途中で接続が切れ、何も出力しないまま終了していた。

それまで通知は一件も来ていない。「報告がないから順調に動いている」と思っていたが、実際は黙って止まっていた。

作って納品した時点では、どれも正常に動いていた。動き続けるかどうかは別の問題である。保守料は、この「黙って止まる」を見つけて直すための費用だと考えたほうが実態に近い。月額を削る判断をするときは、止まったことに誰がいつ気づくのかを一緒に決めておいたほうがいい。

見落とされる3つ目の費用

一番大きいのに見積書に載らないのが、社内の人の時間である。

AI導入で必要になる社内作業には、次のようなものがある。

  • 過去のデータを渡す(探す、まとめる、電子化する)
  • 業務のやり方を説明する(今どうやっているかを言葉にする)
  • 出てきたものを試す、直してほしい点を伝える
  • 現場に使い方を伝える

このうち一番重いのは、たいてい業務のやり方を言葉にする作業になる。長くやっている業務ほど、手順が人の頭の中にあって書き出されていない。

ここを外注できると思っていると、話が進まなくなる。逆にここさえ出せれば、あとは作る側の仕事になる。

社長か、その業務を一番よく知っている人が、合計で数時間は関わる。この時間を確保できるかどうかが、実際には金額より効いてくる。

予算をいくらに置くか

「いくらかかるか」と「いくらまで出していいか」は別の問題である。ここまでは請求される側の内訳の話だった。ここからは、自社でいくらまで出してよいかの決め方になる。

相場で決めない

「AI導入 相場」で調べて出てきた金額を基準にすると、判断を誤る。同じ「見積の自動化」でも対象業務の状態で作業量が変わるためで、他社の金額は自社の判断材料にならない。

基準にすべきなのはその業務に今かかっている人件費である。月に何時間かかっているかを出し、時給を掛ける。そこが上限の目安になる。

上限いっぱいまで払わない

月20時間・時給1,500円の業務なら、かかっている人件費は月3万円になる。ここに月3万円払うと、削減できた分と支払いが同額で、手元には何も残らない。

残った時間で別の仕事ができるなら意味はあるが、その時間で何をするかが決まっていないなら、投資として成立していない。削減額の半分程度を上限に置くと、判断を間違えにくい。

比べる相手は「導入しない場合」ではなく「人を採用する場合」

費用対効果が計算しにくいのは、比べる相手を間違えているからであることが多い。

「導入しない場合」と比べると、今のままで回っている以上、効果はゼロに見える。比べるべきなのは、その業務を人に任せる場合である。パートを1人雇えば月10万円前後、社会保険や教育の時間も乗る。その業務の一部をAIに任せる費用が月5万円なら、判断できる形になる。

ただしAIは人の代わりにはならない。任せられるのは受付、聞き取り、分類、記録、通知といった判断を含まない部分に限られる。「1人分の仕事がまるごと消える」前提で計算すると、必ず見込みを外す。

導入前に決めておくこと

効果を測れるかどうかは、導入前に何を記録したかで決まる。最低限、次の2つは着手前に出しておく。

  • その業務に今かかっている時間(誰が、週に何時間か。感覚ではなく1週間だけ実測する)
  • 何をもって成功とするか(返信時間が何時間から何時間になれば成功か)

この2つがないまま導入すると、動いた後で「楽になった気がする」以上のことが言えなくなる。当社が福井県内の現場訪問を無料にしているのは、この実測を一緒にやるためでもある。

当社の場合

株式会社SHIKAKERUは福井市に本店を置いている。全国からオンラインで相談・診断・開発を受けているが、福井県と北陸地方は現場視察が無料である。その他の地域も、事前に費用を案内した上で訪問できる。

進め方は次のようになる。

1. 現場を見る、または話を聞く(福井県内は無料)
2. AI化する対象業務を決める
3. その範囲で見積を出す
4. 納得してから費用が発生する

向かないと判断した場合は、そのように伝える。AIを入れないほうが早い業務は実際にある。人が短時間で終えている作業を自動化しても、作る費用は回収できない。

何から手をつけるかは「福井の中小企業がAI導入で最初に考える3つ」、業務ごとの詰まり方は「見積書が遅くなる理由と、AIで自動化できる範囲」が近い。実際に作った例は「電気工事の見積をAIで作る、任せられる範囲」にある。

まとめ

AI導入の費用に定価がつきにくいのは、売っているものが商品ではなく対象業務だからである。金額を聞く前に、何を対象にした金額かを確かめたほうがいい。

費用は初期費用・月額費用・社内の人の時間の3つに分かれる。月額はどの案件でも発生するわけではなく、外部サービスを使い続ける場合と保守を受ける場合にかかる。使用料と保守料は分けて聞いたほうがいい。

一番見落とされるのは3つ目で、業務のやり方を言葉にする作業は外注できない。ここに数時間を出せるかどうかが、金額より先に効いてくる。

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